右手に剣を、左手に君を


周りは全員、黙ってしまう。


そう。


まだ渚だけが、忠信の真実を知らない。


千年前、龍神剣を産んだところから、

意識が朦朧としていて、記憶が飛び飛びにしかないんだ。


自分が龍神剣を産んで、力尽きそうになった事を、覚えていない……。



「渚、あのな……」



説明してやろうと口を開いた途端。


神社の方から、ザワザワとした声が聞こえてきた。



「なんだ……?」



耳をすますと、今度は玄関の呼び鈴が鳴った。


一体何なんだ?


もしかして、敵の襲来か?


それにしては妖気は感じないし……。


なんとなく不気味さだけを感じて、


玄関に出ていくばあちゃんの後ろに、男三人がついていった。


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