右手に剣を、左手に君を
しかし、俺の代わりにキレたのは、やはり健太郎だった。
「コウがそんな事、するわけねーだろっ!!」
しかし人々は黙らず、さらに叫ぶ……。
「突然転校してきた親戚がいるだろう!
そいつがバケモノだ!
そいつを出せっ!!」
……渚の存在が、知られている……。
意外に、親たちは子供達の話を聞いていたらしい。
子供達も、こんな田舎で普段ぼんやりしてるから、
変わった事があった時くらいしか、話す事もないんだろう。
「バケモノを出せ!」
「子供達を返せ!」
「今まで、この神社に来てやってたのに!」
「恩知らず!」
「殺人犯!」
…………。
言われているうちに、だんだん腹が立ってきた。
そんな時……。
「いたぞ!」
と、少し離れたところから声がした。
「げっ!」
そちらを見ると……。
枯れたアジサイの群れの前に、渚が立っているのを見つけた。
心配して様子を見に来て、マヌケにも見つかってしまったんだろう。
正気を失った人々を見て、ぷるぷると震えていた。