右手に剣を、左手に君を
駆け寄ってきた健太郎と雅が、前に出る。
「お前ら……俺達が、何のために戦ってると……!」
「気に入らないな」
二人とも、堪忍袋の緒が切れてしまったらしい。
それは俺も、同様だった。
事情を知らないとは言え、
今まで人間のために命をかけて戦ってきたのが、バカみたいだ。
そう思った。
「……昔いじめられて、今ハブにされた腹いせに、
俺が皆を行方不明にしたり、意識不明にしたって……?
ふざけるなよ。
お前たちは、俺がいじめられても何とも思わなかったって事だろ。
無視してたんだ。
自分の子が他人を傷つけるのは構わないが、
被害者になるなら、無関係なやつまで殺すのか!」
大人達は、わけがわからないという顔をした。
そんなの、当然だと思っているんだろう。
情けない……。
こんな大人達ばっかりなのか。
そりゃ、神達にも見捨てられるわけだ。
「俺は、彼女を守る。
他の誰を敵にしても」
俺は、キッパリと宣言した。
「コウくん……」
渚が泣きそうな声を出す。
他の二人は、静かにうなずいた。