右手に剣を、左手に君を
「……捕まえろ!!」
誰かが叫んだ。
それを合図に、人々は俺達に雪崩のように襲いかかる。
「行け!恒一!」
雅が叫んだ。
次に、健太郎が言う。
「コウ、渚を連れて逃げろ!
そんで、帰ってくるな!」
「ババ様は、俺達に任せろ!」
そう言いながら、二人は大人達をバタバタと素手で投げつけていく。
「行くぞ、渚……!」
「え、あ……っ!」
俺は、渚の手を引いて走り出した。
誰も来られないところへ。
そう考えていたら。
いつの間にか足は、渚が封印されていた洞窟に向かっていた。