右手に剣を、左手に君を


「ねえ……帰ろう?」


「とは、言っても……」



神社は、雅たちがいれば大丈夫だろう。


むしろ、俺たちが戻った方が、危なくなるんじゃないだろうか……。



「……なあ……本当にこのまま、逃げないか?」


「え?」


「かけおちしようか。

誰も俺たちを知らないところへ」


「コウくん……」


「俺はお前さえいれば、それでいい。

他の何もいらない」



彼女に手をのばし、引き寄せようとする。


しかし彼女はそれを拒否した。


そして。



「バカァ!!」



べし。


渚は、俺の頬を打った。


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