右手に剣を、左手に君を


「そ、それでね。

あの神社で、おばあさまと一緒に暮らすの。

でね、雅と健ちゃんが、たまに遊びにきてくれるの。

大人になっても、父親になっても。

それぞれのお嫁さんや、子供を連れて……」


「…………」


「夏はね、皆で海に行くの。

花火も、見るの」



いつの間に、誰が教えたんだろう。


夏が来ない、この町で。



「……皆って、

俺たちの子供も含まれるわけか?」


「う、うん、もちろん……」



元神と、人間のハーフ。


それって、どんな生き物になるんだろう?


龍神の尻尾が生えてたら、どうする気だ?


ああ、でも……。


もし、普通の子供に恵まれたら。


俺が欲しくて欲しくてしょうがなかった、

“普通の家庭”が手に入るのかな……。


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