右手に剣を、左手に君を


「海神様……」


「えっ!?」


「無礼者!頭を下げぬか!」



リカさんに思い切り頭を押さえられ、

俺はしかたなく膝をついた。


その両隣に、リカさんと渚が座る。



「良い、楽にしろ」


「ははーっ」



楽にしろ、と言われても、

リカさんは俺の頭に置いた手の力を、

ゆるめる気はないらしい。


渚は、座ったままぷるぷると震えていた。


もしかして、このおじさん……。


ちょっと小太りで、背が高く、あごひげをたくわえている。


少し前に流行った、スピリチュアル・カウンセラーみたいだ。



とにかく、このおじさんは。


本当に、海神なんだろうか……。


あまりにも普通な人間の姿で、拍子抜けしてしまう。


確かに、オーラは半端ないけど……。




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