右手に剣を、左手に君を
「彼から説明を受けるより、私が見せた方が早いだろう。
倶利伽羅は人の記憶を見ることはできても、
再生する事はできないから……」
「ちょっと、待ってください。
いきなり来られて、何をおっしゃってるのかいまいち……」
渚は交互に、俺とリカさんの顔を見る。
「……千年前、あなたが龍神の剣を産んだ時の記憶を、
海神様が見せてくださると、おっしゃってるの」
「えっ……」
リカさんの言葉に、渚は渋い顔をした。
玉藻に記憶を引きずり出されたのが、
トラウマになっているのかもしれない。
「コウくん……」
渚がこちらに迷った視線を送る。
「見ておいてほしい。
大事なことだから」
俺はそれだけ、言った。
すると渚は承知したように、ゆっくりとうなずく。