右手に剣を、左手に君を
はぁ、とため息をついて、座り込む。
頭上の空は、やはりハッキリしない模様をしていた。
ここ最近、晴れた空を見ていない。
これも空亡が復活したせいだと、ばあちゃんは言う。
「う~ん……。やっぱり、穢れてる」
渚も同じ事を思ったのか、鼻をふんふん鳴らして、眉をひそめた。
「……飯食うか?」
「あ、うん!
後であの占い道具、見せてね♪」
「へぇへぇ……」
俺達は、朝コンビニに行ったついでに買ったパンを、もそもそと食べた。
渚は「何これ、おいしぃ~」とご満悦だ。
「神様も、食べるんだな」
「うん、そうじゃなきゃ、人間の体は維持できないから」
「じゃあ基本、俺達と変わらないわけだ」
「うん。お腹空くし、眠くなるし、傷つけられれば血が出て痛いの。
死ぬ……というか消える事は、そうそう無いけど」
渚はカフェオレを飲み、少し疲れた顔で息を吐いた。
しかしすぐ、笑顔を作り直す。
「コウくん達は、一体何で三剣士になっちゃったの?」
「あー……成り行き」
「成り行き?」
渚は小首をかしげた。
その仕草を可愛いと思う余裕もなかった。
辛い昔の事を、思い出してしまったから……。