右手に剣を、左手に君を


『……渚を助ける方法は、ないか……?』

《……消滅させない方法なら、あります》


『どうすればいい!?

私はこの人を、失いたくない……!』



そこで今の渚は、初めて知ったんだ。


忠信が、自分を裏切ってなかったということを……。


俺につかまっていた腕の力が、抜けていく。


その顔を見ると、既に涙を溢れさせていた。



龍神剣は、言う。



《私を、母上の身体に戻してください。

そうすれば、母上に少しでも力を返す事ができます》


『戻す……』


《そして……母上を、封印するのです》


『封印!?』



忠信は、龍神剣を非難するように見つめる。



《母上を封印するのは、母上を守るためです。


母上は海神様に見捨てられて、残った妖全てに恨みを買う立場。


父上は、妖退治を続けながら、母上を守りきる自信がおありですか?》



海神が、わずかに顔をゆがめた。



《封印しておけば、時が経つにつれて、母上は力を取り戻す事ができます》



そういわれても、忠信はすぐに決断できずにいる。


そんな彼に、仲間達が声をかけた。


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