右手に剣を、左手に君を
『行こう。封印を、するんだ』
『柏原……』
『海辺に洞窟がある。
あそこなら、誰も来るまい』
『西条……』
共に戦ってきた二人に説得されても、
心を決められない忠信に、龍神剣が言った。
《父上……お別れは悲しいでしょうが……。
命を繋いでいけば、またいつか会える時があるでしょう》
『命を……?』
《全ての魂は、肉体が滅びても、別の誰かに産まれ変わる事ができます。
そうして、何度も人生をまっとうして……。
その魂の営みを続けていれば、いつか……》
輪廻転生。
そうして魂は、続いていく……。
『……それしか、ないのか……』
するとそこでまた、景色が切り替わる。
一瞬戻ってきたのかと思ったそこは、元の洞窟じゃなかった。
千年前の、この洞窟だ。
『……すまない……』
過去の渚はまだ、かすかに息があった。
薄く開く目で、なりゆきを見守っていた。
『すまない……!』
忠信は、そんな彼女の胸に。
龍神剣を、突き立てた――。