右手に剣を、左手に君を
『渚……愛してる……』
びくりと、今の渚の身体が震えた。
『愛してるよ、渚。
愛してる……』
忠信は壊れたおもちゃのように、
何度も同じ言葉をくりかえす。
『いつか、会おう。
その時こそ……。
幸せにするから……』
忠信が過去の渚に、触れるだけの口づけを与える。
『愛してる……』
彼が身体を離すと、渚は完全に、祠の中におさまってしまった。
その前で、崩れ落ちた忠信は。
大人の男とは思えないほど。
声がかれるまで、泣き叫んだ。