右手に剣を、左手に君を
「そりゃあ……私だって、善女には幸せになってほしいわ。
貴方の気持は疑ってない。
できることなら、一緒にいさせてあげたかったわよ」
「じゃあ、何故……
やぱり、神社に集まった大人たちのせいですか?」
「それもあるだろう」
海神が、俺たちの会話に口を挟んできた。
その威圧感に、俺たちは思わず黙ってしまう。
「お前達が神社からこちらに戻る間に、
決定したことがある」
「……?
なんですか、それは……」
「我々は、やはり戦いには参加しないことにした」
「そんな……!!」
渚が顔を上げ、抗議するように言った。
海神の口から言われたことで、
ほんの少しの希望が、絶望に変わっていく……。
「どうして?人間がこの星を汚してしまったから?」
「…………」
「お願い、海神様。
私を大事に思ってくださるなら、助けてください。
もう一度、人間に機会を与えてください。
この星で生きる、機会を……」
すがりつくような渚から、海神は目をそらした。