右手に剣を、左手に君を


「そりゃあ……私だって、善女には幸せになってほしいわ。

貴方の気持は疑ってない。

できることなら、一緒にいさせてあげたかったわよ」


「じゃあ、何故……

やぱり、神社に集まった大人たちのせいですか?」


「それもあるだろう」



海神が、俺たちの会話に口を挟んできた。


その威圧感に、俺たちは思わず黙ってしまう。



「お前達が神社からこちらに戻る間に、

決定したことがある」


「……?

なんですか、それは……」


「我々は、やはり戦いには参加しないことにした」


「そんな……!!」



渚が顔を上げ、抗議するように言った。


海神の口から言われたことで、

ほんの少しの希望が、絶望に変わっていく……。



「どうして?人間がこの星を汚してしまったから?」


「…………」


「お願い、海神様。

私を大事に思ってくださるなら、助けてください。

もう一度、人間に機会を与えてください。

この星で生きる、機会を……」



すがりつくような渚から、海神は目をそらした。


< 348 / 449 >

この作品をシェア

pagetop