右手に剣を、左手に君を
「……できぬのだ」
「え……っ?」
海神の声は、いっそう低くなった。
その眉の間には、こいシワが刻まれている。
「できないのだよ。
完全復活した空亡に、対抗する力が、我々にはないのだ」
渚が大きな目を、ますます大きくする。
なに……なんだと?
神さえ、空亡に敵わないだと……?
「我々は、混乱に満ちたこの世界を支えるのに、
手いっぱいなのだ」
「…………」
「そして、人間が好き放題してくれたおかげで、
現在、精霊のほとんどが消滅した。
この星をなんとか支えている我々の力も、
もう底を尽きかけている」
なんだって……。
結局、人間の自業自得ってことかよ。