右手に剣を、左手に君を


「たまたま三剣士の子孫として産まれて、
たまたま霊能力と神剣(シンケン)が使えただけ」



俺はなるべく簡潔に答えた。



「神剣……そう、目覚めた時に、草薙剣の声を聞いた気がした」


「草薙剣は、今はここだ」



俺は左の手の平を見せた。


草薙剣は、血によって継承されてきた。


継承する力のある者が産まれると、ある日突然、手から剣が出せるようになるのだ。


渚はそれを知ってるようで、素直にうなずいた。



「同じように雅は十束剣を、健太郎は布都御魂を使う」


「十束剣に布都御魂!懐かしい~……」



懐かしい、とは言いながら。


渚は、寂しそうに笑っていた。


まだ、先祖の三剣士がとっくに死んでいる事が受け入れられないようだ。


俺のせいでは、ないのだけど……。


なんとなく、謝りたくなった。


ごめん。


勝手に、封印したり起こしたりして。


文句も言いたくなるよな……。



それに。



ごめん。



俺が、ご先祖じゃなくて。



ごめんな。



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