右手に剣を、左手に君を


「でも、玉藻は……

神たちが、人間が滅びた後で空亡を襲おうと、

企んでるって……」



渚が言う。


そういえば、そうだった。


あれは確か、草薙剣が壊される直前の話だった。


海神は小さく首を横に振る。



「正直に言うと、千年前は、そのつもりだった。

今は、力を貸してやりたいと、

そういう神も皆無ではなかった。


しかし……」



「しかし?」


「完全復活した空亡の妖気は、千年前とは比べ物にならなかった。

それで、全ての神が諦めてしまった」




そんな……。


人間が、この星を好き勝手にしてきた。


そのせいで、助けてくれるはずの神の力まで、

削っていたなんて……。




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