右手に剣を、左手に君を


普通の人間が言うのなら、笑ってしまう。


若気のいたりだよ、と済まされてしまう。


しかし、彼女は……。


何万年も生きてきた、神だ。


その決意は、何より固かった。



「私は、彼と、生きていきます。

こうして千年の時を超えて、何度生まれ変わっても、

私を探しあててくれたんだもの。


私は永遠の命より、その方が愛しいの」



渚が俺の顔をのぞきこんだ。


澄み渡った海のような瞳に、俺が写る。


俺は、何も言えなくて……。


ただ、愛しい彼女を、強く抱きしめた。







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