右手に剣を、左手に君を
右手に剣を、左手に君を
「善女……もう一度よく考えなさい」
リカさんと海神はそう言って、洞窟から出ていった。
これで良かったんだろうか。
不安がよぎる。
俺は、渚を海に帰してやるべきじゃ、なかっただろうか……。
「コウくん」
そんな思考を見透かすかのように、渚が俺の名を呼んだ。
「大丈夫だよ。
何があったって、コウくんのせいなんかじゃないから」
「渚……」
「私の気持ちは変わらないよ。
一緒に、空亡を倒しに行こう」
渚は俺の手をにぎって、まっすぐに見つめていた。
「……やれるだけのことは、やってみよう?」
「そうだな……
でも、龍神剣は産まないでほしい」
「……じゃあ、そうしなくていいように、
頑張らなくちゃね」
渚は、にこりと笑った。
何かを、ごまかすように……。