右手に剣を、左手に君を
右手に剣を、左手に君を


「善女……もう一度よく考えなさい」



リカさんと海神はそう言って、洞窟から出ていった。


これで良かったんだろうか。


不安がよぎる。


俺は、渚を海に帰してやるべきじゃ、なかっただろうか……。



「コウくん」



そんな思考を見透かすかのように、渚が俺の名を呼んだ。



「大丈夫だよ。

何があったって、コウくんのせいなんかじゃないから」


「渚……」


「私の気持ちは変わらないよ。

一緒に、空亡を倒しに行こう」



渚は俺の手をにぎって、まっすぐに見つめていた。



「……やれるだけのことは、やってみよう?」


「そうだな……

でも、龍神剣は産まないでほしい」


「……じゃあ、そうしなくていいように、

頑張らなくちゃね」



渚は、にこりと笑った。


何かを、ごまかすように……。


< 354 / 449 >

この作品をシェア

pagetop