右手に剣を、左手に君を
俺は、彼女の身体をもう一度抱きしめる。
渚も、ゆっくりと俺の背に両腕をまわしてきた。
「約束してくれ……」
「うん?」
「絶対に、死んだりしないと……」
「死ぬ……なんて、人間みたいな表現だね」
切なげな鼓動が、胸から伝わってくる。
「ごまかさないでくれ。
約束してくれ。
龍神剣は、産まないと」
「……さっき、言ったでしょ?
そうしなければ勝てないのなら、私は産む」
「渚!」
身体を離し、その青い目を見つめる。
その瞳は、まったくブレなかった。
「龍神剣を産んだって、消滅するとは限らないじゃない?」
「だけど……千年前は……」
「千年前は、千年前。
牢屋にコウくんが助けに来てくれたとき、言ったでしょ?
今なら、何でもできそうだって」
渚は笑顔を崩さないように、気を配っているみたいだった。
不器用なくせに、必死で俺を安心させようとしているのだろう。