右手に剣を、左手に君を
「私、ホントにコウくんが、
だいだいだい、だーいすきなの!」
「渚……」
「だからね。
きっと、奇跡が起こせるはず。
忠信様が、こうして生まれ変わっても、
私を愛してくれたように」
渚は、自分から俺に、ぎゅうと抱きついてきた。
身体の間で、小さな胸がつぶれる。
細くて、白くて、
今にも消えてしまいそうな、儚げな君。
「大丈夫」
渚は最後にそう言うと、口を閉じた。
もう、彼女の決意は何者にも変えられない。
きっと、俺にも。
ならば俺も、覚悟を決めよう。
忠信のように、置いて行きはしない。
共に戦おう。
右手に剣を。
左手に君を。
それと、
君と生きる未来への希望を、抱いて。