右手に剣を、左手に君を
「……渚……」
「はい……」
二人の声だけが、洞窟の中に反響する。
「絶対、生きて帰ろうな」
「うん。
そういうコウくんも、死んだらダメだよー」
「死なないよ。
というか、死ねないよ。
お前と契るまでは、死んでも成仏できない」
「ちぎ……って…もう!」
冗談を言った俺に、渚が笑顔でツッコんだ。
照れ屋な彼女は、その顔を赤くする。
「本気だからな?」
「え?」
「……いつか、俺の子を産んでくれよ?」
そうして。
一緒に生きていこう。
一緒に、この星に産まれる新しい命を、見守っていこう。
そう、耳元でささやくと。
渚の目から、雫が一つ、落ちた。
「もー、殺し文句だよ、それー」
そう言いながら。
涙は止まらずに、ボタボタと落ち続けた。
しかし顔だけはニターと、まぬけに笑っていた。