右手に剣を、左手に君を


「けどコウ、お前、武器は?

リカさんに没収されなかったのか?」



健太郎が心配そうに言う。



「あ、そういえば。

返せって言われたけど、結局忘れて帰っていった」


「なんだそりゃあ」



俺にもわからない。


洞窟での出来事を一応説明するが。


リカさんがうっかり忘れていったとは、考えにくくて。


全員、首をひねった。


ただ一人、渚を除いては。



「お姉さまは、おっかないけど、本当は優しいの。

きっと、うっかりのフリして、

私達を応援してくれたんだよ」




にこにこ顔でそういう渚。


そうかもしれない。


海神の手前、堂々と力を貸すことはできないけど、

やっぱり妹が心配なんだ。


いや、海神だって。


気づかないふりを、していただけなのかも……。



「とにかく早く、空亡を倒しにいこう?

吸収された魂たちが心配だよ」



渚の提案に、全員がうなずいた。




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