右手に剣を、左手に君を
もうここまできたら、やるしかない。
逃げていても、いずれは滅ぼされてしまうのなら。
俺たちにできる事を、しなければ。
「……よし。行こう」
「おう!
こうなりゃ、死ぬ気で行くぜ!」
「いや、何が何でも生き残る気で行くんだ」
「わかってるよ!
ものの例えだろ!」
雅のツッコミに、健太郎がやり返す。
それを見て苦笑しながら、ばあちゃんが口を開いた。
「恒一……。
全員、必ず帰って来るんだよ」
「ばあちゃん……」
「お前に先立たれでもしたら、
私は天涯孤独になっちまうからね。
そうしたら、誰が介護してくれるんだい」
ずる。
何だそりゃ!
「知るかよ!
今から老人介護施設頼んどけ!」
「はっ、やだね。
ほら、さっさと行って、さっさと帰ってきな!」
ばあちゃんは、俺の背中をバンと叩いた。