右手に剣を、左手に君を


渚は空亡に向かって、飛んでいく。


すでに、玉藻と迦楼羅の姿は、

闇に飲み込まれ、指先ほども見えなくなっていた。


空亡の渦から、食べ物を噛み砕くような、不吉な音がした。



「雷(いかずち)!!」



俺は渚の背中から、空亡に稲妻を落とす!


ぐわん。


渦は、一度大きく揺れた。


攻撃が効いたのか?


そう思ったのは、大きな間違いだった。


渦の中央の赤い目が、ぐりんと一回転し……。


次の瞬間。



「……!!」

《まさか……!!》



俺たちは、言葉を失った。


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