右手に剣を、左手に君を


渦の後ろから……。


バサ、という音がした。


そこには、

迦楼羅の黒い翼があった。


ただ、大きさが、空亡にあわせて巨大化している。


そして。


渦の下部からは。


白いふさふさとした尾が、九本現れた。



本当に、二人の妖の力を、


吸収してしまったんだ。



命乞いに、耳を貸すこともなく……。



《ひどい……!》



空亡は、あの二人を仲間だなんて、欠片も思ってなかったんだ。


その証拠に、渦の中心から、低い笑い声が聞こえてきた。


くつくつと喉を鳴らすような笑いの後、

空亡は渚に話しかけた。



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