右手に剣を、左手に君を
《どうする、龍神の姫。
もうお前たちに、勝機はないぞ》
《そんなの……まだ、わからない!》
渚がそう言うと、海面に波が立った。
彼女の高まる霊力に、海が応えているようだった。
しかし……
《遅いわ!!》
こちらの攻撃を待たず、
空亡は、黒い翼をはためかせる!
「っ!!」
巨大な黒いナイフが、俺たちめがけて飛んでくる。
それは、迦楼羅の攻撃そのものだった。
《くう……っ》
無数の羽根を避けていた渚の尾に、
ついにその一つが当たってしまった。
《きゃっ……》
バランスを失った渚は、人間の姿に戻ってしまい……
俺たちは、海へ真っ逆さまに落ちていく。