右手に剣を、左手に君を


「きゃああぁぁぁ……」



渚の悲鳴が聞こえる。


このまま海に落ちてしまうかという時……


ザバ、と海面が盛り上がる音がした。



「お姉さま!」



渚の声とともに、俺たちの体は、

硬い鱗におおわれた背中に落ちた。


「リカさん……!」



下を見ると、黄金の龍が俺たちを乗せ、

海の上に影を作っていた。



《また、お前か……!》



以前、結界を破られた事を思い出したのか、

空亡は忌々しげにうなった。


< 398 / 449 >

この作品をシェア

pagetop