右手に剣を、左手に君を
「きゃああぁぁぁ……」
渚の悲鳴が聞こえる。
このまま海に落ちてしまうかという時……
ザバ、と海面が盛り上がる音がした。
「お姉さま!」
渚の声とともに、俺たちの体は、
硬い鱗におおわれた背中に落ちた。
「リカさん……!」
下を見ると、黄金の龍が俺たちを乗せ、
海の上に影を作っていた。
《また、お前か……!》
以前、結界を破られた事を思い出したのか、
空亡は忌々しげにうなった。