右手に剣を、左手に君を



「龍神の姫よ……」



にぎりしめた刀に、霊力を流し込む。



「この血に応えよ。

我は、御津忠信(ミト・タダノブ)の子孫。

草薙剣(クサナギノツルギ)の正統なる後継者なり」



声に応え、にぎった草薙剣の刀身が、ますます強い光を放つ。



俺はそれで。



自分の手の甲に、一筋のキズをつけた。



ぴ、と血が飛ぶ。



少しの痛みを感じたが、そんな事は言っていられない。



俺は切っ先に血のついた草薙剣を、祠へ突きだした。



すぅ、と新しい息を吸う。



そして。



ありったけの力を腹筋に込めて、龍神の名を、呼んだ。



「目覚めよ、善女竜王(ゼンニョリュウオウ)!!」




< 4 / 449 >

この作品をシェア

pagetop