右手に剣を、左手に君を
「龍神の姫よ……」
にぎりしめた刀に、霊力を流し込む。
「この血に応えよ。
我は、御津忠信(ミト・タダノブ)の子孫。
草薙剣(クサナギノツルギ)の正統なる後継者なり」
声に応え、にぎった草薙剣の刀身が、ますます強い光を放つ。
俺はそれで。
自分の手の甲に、一筋のキズをつけた。
ぴ、と血が飛ぶ。
少しの痛みを感じたが、そんな事は言っていられない。
俺は切っ先に血のついた草薙剣を、祠へ突きだした。
すぅ、と新しい息を吸う。
そして。
ありったけの力を腹筋に込めて、龍神の名を、呼んだ。
「目覚めよ、善女竜王(ゼンニョリュウオウ)!!」