右手に剣を、左手に君を
《ぬう……
もう、容赦せぬぞ!!》
安心する間もなく、空亡の絶望を呼ぶ声が響く。
「渚、こっちから攻撃しよう!
このまま、応戦してるだけじゃ、らちがあかない」
《うんっ!》
渚は同意すると、俺を乗せたまま、
空亡と同じ高さまで、ふわりと浮かんだ。
「一気に行くぞ!」
《了解です!》
ぶわ、と、俺たちの周りに霊力の渦が巻き上がる!
俺は、渚の背に、両足で立った。
龍のたてがみが、草原の中にいるように、
ヒザの下でさわさわと波打っている。
「これで、終わりにする……!」
渚と何度もキスをして、以前よりも、
自分の霊力が高まっていくのを感じていた。
負けるわけには、いかない。
俺のこの力は、渚に分け与えられたもの。
負けるわけは、ないんだ……!
ぎり、と柄をにぎる手に力が入る。
俺は倶利伽羅剣に、ありったけの霊力を、流し込んだ。
体中の力が、そこへ集まっていく。
同時に、空亡の赤い目には、
今までになかったくらい、凄まじい妖力が、収束していた。