右手に剣を、左手に君を
足元では、渚が海の水を霊力で揺らしている。
そして……。
《滅びよ!!》
空亡の黒い翼から、
無数の羽根のナイフがこちらへ飛んできた!!
しかも、火炎地獄と同時に──。
「防御は任せる!!」
《はいっ!!》
恐怖を必死で振り払い、剣を上空にかざす。
天空の神よ、雷の神よ。
雲よ、風よ。
俺に、力を貸してくれ……!!
「おぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
喉がつぶれるぐらい、大声で叫ぶ!!
身体から一気に霊力が放出され、恐ろしいほどの脱力感に襲われた。
しかし、倒れるわけにはいかない!
この稲妻で、空亡を倒す!!
《水柱(みずばしら)!!》
渚は霊力で海面を打ち、大きな水の柱で壁を作った。
迫り来る羽根と炎は、それになだれ込む。
《く……っ》
魍魎の王と、龍神の姫。
二つの力が、互角に押し合っていた。