右手に剣を、左手に君を
「善女……」
リカさんが、悲しい顔でつぶやく。
「大丈夫だよ、お姉さま」
渚は気丈にふるまう。
「ま、待てよ、二人とも」
「健太郎」
何とか俺たちを止めようとする健太郎を、
雅が静止させた。
もう、俺たちは……。
こうするしか、ない。
俺たちは、ついに覚悟した。
龍神剣を、出現させる事を。
「コウくん……」
「あぁ……」
向かい合った渚の胸に、清く澄んだ霊力が集まっていく。
それは、もう残り少ない命もかけた……
渚の、全ての力。
《……ほう、とうとう見せる気になったか》
空亡の声など、無視して。
渚はその出産に、全ての精力を注ぐ。
そして……。
ドクン。
渚の胸から、本人とは別のものの鼓動が、聞こえた。