右手に剣を、左手に君を
「コウくん……恒一……
あなたの、ために……」
震える唇が、小さく囁く。
そのまま渚は、まぶたを閉じた。
「渚!」
がくん、と渚の身体が仰向けに倒れようとしたのを、
とっさに支える。
腰で支えたため、目の前に、渚の小さな胸があった。
そして、それが。
突然、まぶしい光を放つ!!
「!!」
雲を貫き、空まで届く、青い光。
その中心で……。
渚の、胸から。
青い刀の柄が、顔を出した。
「龍神の……剣……」
俺は、意を決して。
倶利伽羅剣を、砂浜に捨てた。
そして。
龍神剣の柄を、にぎりしめた。