右手に剣を、左手に君を
「はや、く……空亡を……
お願い、コウくん……!」
少ししか開かないまぶた。
震えて、途切れてしまう声。
その全てが、愛しかった。
渚は、俺のために。
命をかけて。
新しい命を、産んでくれた……。
「待ってろよ……
絶対、絶対、生きて、待ってろ」
俺は、今にも耐えようとしている彼女に。
キスを、した。
願いをこめて。
最愛の、情をこめて。
唇を離して見た、君の顔は……。
美しく、笑っていた。