右手に剣を、左手に君を
もちろん、こんな一撃でやられるような相手じゃない。
注意して見ていると、やがて霧が晴れる。
その中から、さっき俺たちを傷つけた触手が伸びる!!
「リカさん!!」
《わかってるわよ!!》
リカさんは、それを避けるように、
空中を縦横無尽に泳ぐ。
俺は、迫ってきた触手を、次から次へとなぎ払った。
《霊力が戻って……
いや、今まで以上になっている。
良い剣だ……お前などには、もったいない!!》
少し興奮しているようなその声と共に、
羽根の刃が降り注ぐ!!
《水柱!!》
今度は龍神の力を借り、その悪意を洗い流す!
羽根はみるみるうちに、海に飲み込まれていった。
《それを、よこせ!!》
空亡は一歩もひかず、次から次に攻撃をしかけてくる。
今度は、火炎の塊が俺たちに迫っていた。
「やるわけ、ないだろっ!!」
俺はまた、水柱で応戦した。
これは、渚がくれた剣だ。
俺のために、命をかけて、産んでくれた剣だ。
「お前なんかに、渡さない……!!
何一つ、渡してやるものかっ!!」