右手に剣を、左手に君を
いつか、また



《ぐわああああああ……》



おそらく勝利を確信していたのであろう。


空亡の悲鳴には、困惑が含まれていた。



赤い目が、見開かれ…血走り……。



ばき、ばき、と翼や九本の尾がきしむ。



目の周りの渦が、ぐぐ、と歪んだと思ったら……



《…………》




言葉にならない悲鳴をあげて。


渦は、小さく、小さくなっていった。


羽根も、尾も、ブラックホールのように飲み込んだ渦は。



やがて、その中心の赤い瞳も、


押しつぶし、飲み込んでいった。




空から、黒い渦が、完全に消えた時。



俺を飲み込んでいた竜巻も、消えて。



突然、夜空で爆発が起こった。



空亡の力が、完全に、破壊されたんだ……!!



爆音に耳をふさぐ余裕もなく。



ただ、海に落ちていく身体を感じながら。



地平線まで眩しく照らす、


その爆発の光が、目に焼きついた。



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