右手に剣を、左手に君を


そう言う俺の目にも、熱いものがこみあげてきた。


周りは、何も言わずに俺たちを見守っていた。



「う、ん……

ああ、夢みたい……

白無垢を着て、袴のコウくんの横で……

笑っ、て……」


「なあ。

綺麗だろうな、白無垢。

見せてくれよ、早く」


「へ、へへ……子供、できるかなあ」


「何度も契ってりゃ、そのうちできるよ、きっと」


「うわ……コウくん、キャラ、違う……」



力なく笑う、渚のまぶたは。


もうほとんど、閉じられていた。


息は、弱弱しく。


手は、どんどん冷たくなっていく。



「コウくん……」


「うん?」


「……ごめんね……

やっぱ、先に……行かなきゃ、いけない、

みたい……」



渚の目じりから、言葉と一緒に涙がぽろぽろと流れた。



「ば、か……

死なないって、言っただろ!」


「だから……ごめん……」


「アホか!

これからだろ?

俺が、千年前の約束を果たせるのは……っ!」


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