右手に剣を、左手に君を


今度こそ。


今度こそ、幸せにする。


それが、千年前に忠信が……俺と同じ魂がした、


約束だった。


それなのに。


まだ俺、何もしてないだろ……!?



「なあ。

これから色んなもの、見せてやる。

あんな田舎のスーパーじゃなくって、都会のファッションビルとかさ。

花火もこれからだし、

冬になったら、イルミネーション見に連れてってやる。


免許取ったら、車にも乗せてやる。

牛車じゃなくて、石油で動く方な」




終わりを認めたくなくて。


早口で、どうでもいいことをまくしたてた。


渚は、常ににこにこしながら、それを聞いて……。


ふるふると、首を横に振った。



「もう、じゅうぶんだよ……」


「渚……」


「また、私を、愛してくれた。

それだけで、私は、幸せだった」



もう、我慢が出来なかった。


唇が震えて。


目頭から、熱い雫がひとつ。


落ちた。



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