右手に剣を、左手に君を
「ありがとう、コウくん……」
「やめろ……」
「でも、ありがとう……」
「やめろって!」
そんなの、本当のさよならじゃないか。
それでも渚は、話し続けた。
「大好きだったよ……」
「渚……」
そうだ。
消滅しかかった神を、生き永らえさせる方法を、俺は知ってる。
涙でぼやけた視界に、龍神剣が写った。
それに手をかけようとした途端。
渚が、言った。
「ダメ」
「なんで……」
「封印は、ダメ……」
「でも、このままじゃ」
「いいの。
もう、コウくんの魂は、自由になるべきだよ……
千年も、私が、縛り付けて……
ごめんね?
これからは……
自由に、どこへでも旅立って、良いから……」