右手に剣を、左手に君を


何だ、それ。


俺が、俺の魂が、

ただ義務感だけで、お前を探していたとでも?



「そんな、寂しい事言うなよ……」



俺は龍神剣をにぎり、自らの首に押し当てた。



「コウ!」



健太郎の声が響く。


しかし俺の鼓膜は、それでは震えなかった。



「なあ。一緒に行こう。

寂しくないように。

一緒に、行ってやるよ……」


「コウくん……」



渚は一瞬目を見開いた。


そして、嬉しいのか悲しいのか微妙な顔で、ぼろぼろ泣いた。



「ありがとう……ありがとね……」


「渚……」


「そこまで想ってくれて、本当にありがとう……

でも、死なないで。

あなたは、生きていて」


「そんな……」



ばたん。


力が抜けた俺の手から、龍神剣は、砂浜に倒れた。


空いた、両手で。


俺は、また、


渚の小さな手をにぎった。



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