右手に剣を、左手に君を
「ねえ、コウくん……。
私を、覚えていてね?
きっと、すぐ……
会いに、行くから……」
「渚、行くな、渚!」
「お願い……忘れないでね……?」
「……っ、忘れるわけ、ないだろ!?」
涙で濡れた顔で、渚の顔を見つめた。
陶器のような、白い肌。
長いまつ毛に縁取られた、
海の青の、大きな瞳。
桜色の唇。
銀色の波のような髪。
忘れるものか。
忘れられるものか。
「愛してる……」
その全てが、愛しい。
俺は、消えていく渚の唇に、
キスをした。
「私も……」
渚は、今度こそ、嬉しそうに笑った。