右手に剣を、左手に君を


腕の中の渚が、軽くなっていく。



光の泡となり、海へ返っていく。



俺は、その泡の最後の一粒まで。



渚を、抱きしめた。




愛してるよ。



子供のくせにって、


周りは笑うかもしれないけど。



それしか、


この想いを表現する言葉が、見つからないんだ。




愛してる。



愛してるよ。




俺は、もう彼女に届かないその言葉を。



嗚咽と絶叫に込めて、海に流した。




俺の横にあった、龍神剣も……。



いつのまにか、消えていた。





愛してる。



愛してる。



大好きだったよ。



なあ、渚。




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