右手に剣を、左手に君を


それを見た、残る二体の妖が後ずさる。


《神剣……》

《神剣ダ……》



一体はおののき、逃げようとする。


しかし、もう一体は。



《神剣ヲ、ヨコセ!!》



目に欲望をみなぎらせ、こちらに襲いかかる!



「雅、頼む!」

「任せろ!」



雅が逃げた妖の後を追う。


誰のものより長い十束剣を持っているのに、その速さは、風にも勝る。



「悪いな、逃がすわけにはいかない」



あと少しで完全に追いつくかという距離で。


雅は、剣を構え。


真横に、宙を切った。


ブゥン、と空間が揺れる音がして。


衝撃波が風の刃(ヤイバ)となり、妖を切り裂く!



《……!》



後ろから胴を真っ二つにされた妖は、声を上げる事もできず、地面に倒れこみ。


さらさらと砂になって、風にさらわれていった。



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