右手に剣を、左手に君を


草薙剣も、倶利伽羅剣も、龍神剣もなくした俺は。


今では本当に普通の、神主見習い。


健太郎と雅も、それぞれの道に進んだ。


盆と正月に会うか、会わないか、みたいな関係になってしまったが……。


それでも、俺たちは今でも仲間だと。


俺は、勝手に思っている。



さて、話を元に戻そう。


もうすぐ大学卒業、あとは卒論を出すだけの俺は、


夏休みに入り次第、ここに帰ってきた。


ばあちゃんの、夏祭りの手助けをするためだ。


そこで駅についた途端、野田に見つかったわけだ。


あのあと野田は、相変わらずのキモ男だったけど。


俺や雅、健太郎が積極的に話しかけるようになり。


いつの間にか打ち解け、明るくなっていった。


高校卒業と同時に社会人になった野田は、

メガネは綺麗だし、格好もこざっぱりしている。



「何、もしかして待ち合わせ?
彼女とか?」


「あはは、まさか。
友達とだよ」


「そうか……

ま、しばらくいるから、暇だったら遊びに来いよ」


「あ、うん……

ちょ、ちょっと待って」


「?」


別れを告げようとすると、野田は突然、もじもじしだした。







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