右手に剣を、左手に君を


とにかく。


俺は、あれから。


雅や健太郎、ばあちゃん、

あと、素直な野田以外は。


なかなか、信じられずにいる。


人間は、手のひらを返すように、突然豹変する。


その事は、紛れもない事実だったから。


「コウは繊細すぎる」


健太郎は、そう言った。


それでも、俺は何とか大学でも、

ほんのり仲のいい男友達ができて、それなりに楽しく過ごせていた。


ただ、女の子だけは……。


なかなか、心を開けなかった。


特に、夏は。



渚のことを、思い出すから。



< 444 / 449 >

この作品をシェア

pagetop