右手に剣を、左手に君を
とにかく。
俺は、あれから。
雅や健太郎、ばあちゃん、
あと、素直な野田以外は。
なかなか、信じられずにいる。
人間は、手のひらを返すように、突然豹変する。
その事は、紛れもない事実だったから。
「コウは繊細すぎる」
健太郎は、そう言った。
それでも、俺は何とか大学でも、
ほんのり仲のいい男友達ができて、それなりに楽しく過ごせていた。
ただ、女の子だけは……。
なかなか、心を開けなかった。
特に、夏は。
渚のことを、思い出すから。