右手に剣を、左手に君を


海を見ることも、最初はできなかった。


そして、喪失感を抱えたまま、

逃げるようにこの地を去ってしまった。



……君が見たら、笑うだろう。


あんな強敵を倒したのに。



自分の心に勝てずに、逃げ回っている俺を。



あぁ、まだ、鮮やかに蘇る。



あの、初めての、胸の高鳴り。



龍神の姫に恋をした、あの夏……。



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