右手に剣を、左手に君を
初デート


「そうか。

おそらく空亡の復活で、他の妖まで力を取り戻しつつあるのだろう。

そいつらは、雑魚だろうが……そうやって人間を糧にする妖が、まだ何体かいるのかもしれない」



それが、ばあちゃんの結論だった。



小さな頃から、たびたび妖と接触してきたが。


森に出たガイコツ形の妖は、初めて見たタイプだった。


「あいつらは、人間を“食う”って言った。

……じゃあ、行方不明のやつらは……

もう、食われて死んでるのか……」



考えないようにしていた事を、口にしてしまう。


ばあちゃんは、


「皆がそうとは限らないよ」


と、珍しく俺達を励ますような言い方をした。


あるいは、ばあちゃんがそう思いたいからか……。



パトロールがてら、毎日森を探索してみたが。


幸いな事に、それから休みまでの何日かは、妖が出る事はなかった。


……しかし、行方不明者の手がかりを得る事も、できなかった。



< 48 / 449 >

この作品をシェア

pagetop