右手に剣を、左手に君を
初デート
「そうか。
おそらく空亡の復活で、他の妖まで力を取り戻しつつあるのだろう。
そいつらは、雑魚だろうが……そうやって人間を糧にする妖が、まだ何体かいるのかもしれない」
それが、ばあちゃんの結論だった。
小さな頃から、たびたび妖と接触してきたが。
森に出たガイコツ形の妖は、初めて見たタイプだった。
「あいつらは、人間を“食う”って言った。
……じゃあ、行方不明のやつらは……
もう、食われて死んでるのか……」
考えないようにしていた事を、口にしてしまう。
ばあちゃんは、
「皆がそうとは限らないよ」
と、珍しく俺達を励ますような言い方をした。
あるいは、ばあちゃんがそう思いたいからか……。
パトロールがてら、毎日森を探索してみたが。
幸いな事に、それから休みまでの何日かは、妖が出る事はなかった。
……しかし、行方不明者の手がかりを得る事も、できなかった。