右手に剣を、左手に君を
日曜の朝。
今日こそ、ゆっくり寝よう。
そう思っていたのに、やけに早く目が覚めてしまった。
妖の事が気になっているからだろうか。
俺は適当に着替え、神社の方に向かった。
今の住吉で一番空気が澄んでいる場所。
考え事をするには、そこがぴったりだと思ったのに……。
「……あれ……」
鳥居をくぐった途端、人がいるのを見つけてしまった。
いや、人じゃない。
泣いてばかりの、ヘタレな神様だ。
「渚」
神社のすみに、ちょこんと座っている彼女に、俺は話しかけた。
「あ」
渚はこちらを振り返り、目を丸くした。