右手に剣を、左手に君を



草薙剣が、まぶしいほどの光を放つ。



まるで、この暗い洞窟に太陽が昇ったかのように。



それに応えるように、岩の祠もぼんやりと青白く光り……。



ピシッ、と、付けられていたしめ縄が音を立てて、飛んだ。



光りはどんどん、輝きを増していく。



「……解放される……!」



健太郎が叫んだ。



その瞬間、ピシ、と、岩の祠にヒビが入った。



卵から小鳥のヒナがかえるように。



中からの力が、岩の殻を破ろうとしているように見えた。



ヒビから、光が漏れ……。



「気をつけろ、恒一!」



祠の真下にいた俺に、雅が声を飛ばした。



そのうちにも、岩の祠はバリバリと音を立て……。



「!!」



一層、まぶしい光が放たれた。



思わず手で、目をかばってしまう。



そして、耳に届いたのは。



バキィィン!!



千年の封印が砕け散る、音だった。




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