右手に剣を、左手に君を


「何だよ、言いかけてやめるなよ」


「ごめんね。
……コウくんは人間だから……」



渚はまた言葉を切る。


それを見て、苦しさがイライラに変わっていくのを感じた。


「人間だから、どうせ理解できないって?」



自分の声には明らかにトゲがあった。


しかし渚は怒りも泣きもせず、困ったように笑いながら、答えた。



「……ううん。

人間の中でも、コウくんは優しいから……。

言えないんだよ……」



渚は顔を上げた。


泣きそうな顔で。


ごめんなさい、と。



呟いた。



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