右手に剣を、左手に君を
陶器のような白い肌。
水色とも銀色ともつかない、色素の薄い長い髪。
体は細く小さく、頼りない。
「おい、アンタ……」
揺さぶり、意識を呼ぼうとすると。
手を触れたところから、着ていた簡素な着物が、ボロボロと崩れていく。
「う、わ、何だこれ!!」
着物が崩れ落ち、女のなめらかな肌があらわになってしまった。
どこを見ていいかわからず、他の二人に視線を送る。
「……これが、龍神の化身か。
千年も経っているから、着物の組織がボロボロになったんだろう」
冷静な顔で、雅が言う。
「マジで!?この美少女が龍神!?
ラッキーじゃん、コウ!!
こんな綺麗な裸、なかなか生で見れないぜ!!」
「ば、バカ!!
可哀想だろっ、あまり見るなよっ!!」
健太郎の冷やかしに、ますます慌ててしまう。
雅だけが冷静に着ていたシャツを脱ぎ、俺の腕の中の彼女にかけた。
「この子が……龍神の化身……」
想像と全く違う。
龍神というからには、水墨画に書かれているような龍を想像していたのだ。
しかし腕の中にいるのは、自分と同年齢くらいの少女だった。
「とにかく、連れていこう」
雅の声で、我に返る。
そうだ。
どんな姿だとしても、俺達は龍神の封印を解放したのだ。
これから、一緒に戦わなくてはならない。
千年も昔のご先祖と同じように……。
これから待ち受ける敵と。
戦わなくては、ならない。
これが、俺と龍神の姫との。
運命の、はじまりだった。